なぜ営業組織は、戦略を実行できないのか？ 〜組織の実行力を科学する「理論」と「実践」の対話〜｜Growth Leaders Vol.5

営業戦略を描き、SFAやDXを導入し、施策も打っている。それでも「現場が動かず、結局成果が出ない」。多くの企業がこの“戦略と実行の断絶”でつまずいています。実際、現場での定着率が極めて低く、「仏作って魂入れず」の状態に陥っているという調査結果も示されています。（参照：Japan Sales Enablement Report 2025）

Growth Leaders Vol.5では、この問題を「理論」と「実践」の両側面から解き明かします。楠木建教授が提唱する「ストーリーとしての競争戦略」という経営学の視点と、SALESCOREが体系化してきた現場起点の「営業実行学」を掛け合わせ、なぜ優れた戦略が“静止画（ドキュメント）”で止まり、“動画（ストーリー）”として現場に腹落ちしないのかを掘り下げます。

鍵となるのは、戦略の良し悪しだけではなく、「実行の障壁＝定着負荷（新しいことをやる心理的・物理的コスト）」と「組織の推進力」のバランスです。多くの組織では、この定着負荷が実行力を上回ってしまい、変化が止まります。これを乗り越えるために、外発的な評価・罰則に頼るのではなく、「これなら勝てる」「やってみたい」と思える内発的動機づけをどう設計するかを、図解も交えながら具体的に議論します。

さらに後半では、営業組織の実行力が「売上の改善」だけにとどまらず、経営そのもののOSを更新する力になり得る点に踏み込みます。現場の記録精度が上がることで予実精度が高まり、経営判断の解像度が増すこと。営業を“販売部隊”ではなく、未購買顧客の本音を拾い上げ、戦略と開発を前に進める「マーケットセンサー」として再定義すること。こうした変化が、戦略の質と実行の質を循環させ、組織を「成果が出る文化」へと変えていく道筋を、対話形式で立体的に描きます。

■こんな方におすすめ

・戦略を“実行される状態”まで落とし込みたいと考えている、経営企画・事業企画の方
・現場定着と成果創出の両立に課題を感じている、営業企画／セールスイネーブルメント担当の方
・組織の実行力を高めたいと考えている、営業責任者・マネジメント層の方
・営業を競争優位の源泉に変える打ち手を探している、経営者・事業責任者の方

■登壇者情報

一橋ビジネススクール 特任教授
楠木 建 氏

経営学者。一橋大学特任教授（PDS寄付講座・競争戦略およびシグマクシス寄付講座・仕事論）。専攻は競争戦略。企業が持続的な競争優位を構築する論理について研究している。著書として『楠木建の頭の中　戦略と経営についての論考』（2024年、日本経済新聞出版）、『絶対悲観主義』（2022、講談社）、『逆・タイムマシン経営論』（2020、日経BP、杉浦泰との共著）、『ストーリーとしての競争戦略：優れた戦略の条件』（2010、東洋経済新報社）などがある。

SALESCORE株式会社 代表取締役
中内 崇人

2014年に神戸大学経営学部卒業後、株式会社ディー・エヌ・エー入社。ゲームディレクターを経験した後、2018年に株式会社Buff（現 SALESCORE株式会社）創業。あたり前の水準を高め続ける文化を営業組織に根付かせるセールスイネーブルメントのコンサルティング事業とSaaS事業を開発・運営。

■司会者情報

ourly株式会社 取締役COO
株式会社ビットエー CHRO
高橋 新平 氏

新卒でダイキン工業株式会社に入社。技術営業として都内の再開発案件に多数携わる。その後、株式会社ENERGIZEに入社。4年間主にベンチャー、中小企業の事業コンサル、組織コンサル等に従事して独立。
2022年4月からourly 株式会社へ執行役員CSOとして参画。2023年4月より現職。京都芸術大学非常勤講師。株式会社ビットエー CHRO（最高人事責任者）。