営業戦略の立て方とは?3つのフレームワークと設計のポイントを解説

企業が持続的に成長・発展していくためには、優れた商品やサービスを設計・開発するだけでなく、そのプロダクトを見込み顧客に販売する体系化された仕組みが欠かせません。そこで重要な課題となるのが、データを起点とする営業戦略の立案・策定です。

実際、Seven Rich Accounting社は目標を設定し、KPIを設計するなど、適切に営業戦略を策定してPDCAを回したことによって、アポイント件数が従来の4倍に伸びたという事例があります。
参考記事:アポイント件数を従来の4倍に伸ばした効率的な営業戦略

しかしながら、

・営業戦略の立案は複雑で自分では立てられない
・立案したが適切なのかわからない

上記のようにお悩みの方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では営業戦略の重要性や組み立て方などについて解説します。

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INDEX目次

営業戦略とは

営業戦略とは、経営戦略における営業目標の達成に向けた中長期的な方針や計画です。経営戦略は大きく分けると「全体戦略」「事業戦略」「機能戦略」に分類されます。全体戦略で全社的な戦略の大枠を定め、事業戦略で各事業の進むべき方向性を示し、機能戦略で「財務戦略」「生産戦略」「マーケティング戦略」「人事戦略」といった現場レベルの計画を策定します。この機能戦略に含まれる指針のひとつが営業戦略です。

営業活動の本質は単に売上を上げることだけではなく、見込み顧客を獲得して信頼関係を構築し、購買意欲を醸成して顧客化を促進することにあります。そのためには参入市場の動向や見込み顧客の潜在的な需要を分析し、中長期的な視点に基づく戦略を立案・策定しなくてはなりません。つまり組織全体の大局的な経営戦略のなかで、「どの市場で」「どんな見込み顧客に」「どのようにして商品・サービスを提供するのか」の指針となるのが営業戦略です。

営業戦術との違い

営業戦術とは、策定した営業戦略を実現するための具体的なアクションを意味します。営業戦略は利益目標や営業目標の達成を目的とする長期的・大局的な「計画」であるのに対し、営業戦術は営業戦略を詳細なアクションプランに落とし込み、実行に移していく短期的・局所的な「施策」です。営業戦略で「誰に・何を・どのように販売するか」という計画を定め、営業戦術を実行してその計画を一つひとつ実現していくのが基本的な流れとなります。

営業戦略を組み立てる6つのステップ

営業戦略を立案・策定する際は、以下に挙げる6つの工程を段階的に進めながら方針や計画を組み立てます。

ステップ1:内部/外部の環境を分析する

営業戦略を組み立てる最初のステップは内部環境と外部環境の調査・分析です。営業戦略の方向性や具体的な営業目標を定めるためには、まず市場の規模や将来性、トレンドの変遷、市場を取り巻く法的要件、競合他社の動向といった参入市場の大局的な潮流を把握しなくてはなりません。

その上で市場における自社の立ち位置や競合他社との差別化ポイント、営業活動に投入できるリソース、財務状況と市場参入に伴う経済的リスクなどを分析します。それによって市場の動向と自社の現状を俯瞰的な視点で評価できるため、戦略の全体像を可視化して営業目標を策定する一助となります。

ステップ2:目標を設定する

次は市場調査や現状分析で得た洞察に基づく営業目標を定めます。営業戦略の代表的なKGI(最終目標)は、「売上高」「受注件数」「新規顧客獲得数」「既存顧客のLTV(顧客生涯価値)」などです。

強い営業組織では、目指すべきゴール(目標)が明確化されており、あらゆるメンバーが強い目的意識とモチベーションで営業活動や業務改善を行っているため、営業戦略の実行度が高いです。

参考記事:強い営業組織を作る7つのステップ!KPI設計から管理方法までを解説

営業目標は具体的な数値目標を掲げると同時に、明確な期限と実現可能性を考慮しなくてはなりません。たとえば参入市場の平均成長率が過去3年間で3%なのに対し、自社の営業目標を「売上高:前年比+20%」と設定するのは非現実的です。挑戦的な数値目標を掲げつつも、市場調査や現状分析などに基づく現実的な目標を設定することで戦略の実現可能性が高まります。

ステップ3:営業プロセスをKPIとして設計する

営業目標の立案・策定後は、KGIを達成するために必要な営業プロセスをKPI(中間目標)に落とし込みます。例として「新規顧客獲得数:前年比+10%」をKGIに設定した場合、「アポイントメントの獲得件数」「見込み顧客への訪問件数」「商談化数」などの具体的な数値を伴うKPIが必要です。

具体的には、以下の手順でKPIを設計していきます。

Step1:顧客が自社商品を購入する理由やプロセスを考え抜き、カスタマーパスを整理する

Step2:顧客にリーチすべきタイミングと手法を考える

Step3:営業のとるべきアクションや提供価値を明確にする

Step4:各フェーズで売上に繋がるアクションをKPI化する

カスタマーパスとは、お客様がサービスなどを購入するまでの意思決定プロセスを言語化したものです。カスタマーパスの詳しい設計方法や営業の取るべきアクションの決定方法については、以下のページで説明していますので、ご覧ください。

参考記事

受注率を向上させるカスタマーパスとは?言葉の定義と設計方法を徹底解説! part1

受注率を向上させるカスタマーパスとは?言葉の定義と設計方法を徹底解説! part2

受注率を向上させるカスタマーパスとは?言葉の定義と設計方法を徹底解説! part3

KPIを設計する際は、設定するKPIがKGIに紐づいているか、顧客目線で設計されているか、営業のプロセスだけでなくアクションもKPI化し、営業がコントロールできる指標となっているかが重要です。また、設計したKPIは社会情勢や市場、組織の経営方針に合っているか定期的に見直しましょう。

参考記事:成果の出る営業KPI設計方法をご紹介!強い営業組織の設計方法とは?

このようにKPIを設定することで最終目標の達成に必要なアクションが言語化・数値化され、KGIの実現に至るフローを可視化できます。また、中間目標の達成度合いを定期的にモニタリングすることで、施策の軌道修正や各種調整が容易になる点もメリットのひとつです。

ステップ4:課題を特定する

KGIとKPIを設計する目的のひとつは課題の特定です。たとえば当期における営業チームのKPIを「訪問件数:1,000件」「商談化数:330件」「案件化数:165件」と設定し、その指標が前期の数値を大幅に下回っている場合、従来と同様の営業プロセスではKGIの達成は困難でしょう。

KPIと実際の訪問件数との間に乖離があるなら営業担当者の増員や営業ルートの見直し、営業支援システムの導入などが必要です。商談化数にギャップがある場合はトークスクリプトの改善や提案力の向上が求められます。このようにKGIとKPIを設計することで目標と現状の間にある課題を可視化し、具体的な対策を講じる一助となります。

営業支援システムとは

営業支援システムは、営業に関する情報をデータ化して蓄積し、分析することができるシステムです。営業支援システムを活用することによって、各営業の営業活動が可視化されるため、手軽に顧客への効果的なアプローチ方法を考えたり、自身の弱点を把握したり、ナレッジや情報を共有したりすることができるようになります。以下のぺージでおすすめのツールを紹介していますので、ご覧ください。

参考記事:【最新版】営業効率化ツールおすすめ17選!

ステップ5:顧客の購買行動を徹底的に理解する

営業戦略を組み立てる上で極めて重要なのが顧客理解の深化です。顧客理解を深めるためには、参入市場や商圏内の見込み顧客が何を求めており、どのような悩みを抱え、自社の商品やサービスがその解決にどう貢献できるのかを分析しなくてはなりません。

とくに現代はインターネットの爆発的な普及に伴い、見込み顧客や消費者の購買行動が多様化しています。そのため、顧客分析を通じて見込み顧客の潜在需要や消費者のインサイトを発掘するとともに、Web時代特有の購買行動モデルを理解した上でカスタマージャーニーを設計する工程が必要です。

ステップ6:施策の実行を徹底管理する

営業戦略は単一の試行で完結するものではなく、施策の成果やKPIの達成度合いを定期的に分析し、状況に応じて軌道修正を図らなくてはなりません。そのためには「Plan(計画)」→「Do(実行)」→「Check(評価)」→「Action(改善)」のPDCAを回し続ける連続的な調整と改善が求められます。

たとえば「売上高:前年比+10%」をKGIとして、第3四半期の開始時点で売上高が前年比+5%を大きく下回っている場合、KPIの抜本的な見直しと改善が必要です。このPDCAを繰り返すことでナレッジが蓄積され、組織全体における営業プロセスの合理化や施策の精度向上が期待できます。

営業戦略に役立つ3つのフレームワーク

営業戦略の立案・策定にあたっては、定量的なデータ分析に基づく意思決定が必要です。その際に活用できる3つのフレームワークを紹介します。

3C分析

3C分析とは、戦略を立案・策定する前段階において、内部環境と外部環境を分析する際に用いられるフレームワークです。参入市場の変遷や成長性、見込み顧客の需要動向などを分析する「Customer(顧客)」、競合他社の市場占有率や資本力、プロダクトの特徴などを分析する「Competitor(競合)」、自社の経営ビジョンや競争優位性、経営資源などを分析する「Company(自社)」という3つの要素で構成されています。

SWOT分析

SWOT分析は、内部環境の「Strength(強み)」と「Weakness(弱み)」、外部環境の「Opportunity(機会)」と「Threat(脅威)」を分析するフレームワークです。「Strength」は自社の独自性や得意領域といったプラス要因、「Weakness」は自社の課題や苦手分野などのマイナス要因を指します。それに市場の変化が自社に与えるプラス要因の「Opportunity」とマイナス要因の「Threat」を組み合わせて分析し、その知見を戦略の意思決定に活用します。

STP分析

STP分析とは、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の3要素を分析するフレームワークです。「Segmentation」で参入する市場を細分化して見込み顧客を特定グループに分類し、「Targeting」で自社の顧客となり得る見込み顧客を絞り込み、「Positioning」で自社の競争優位性と競合他社との関係性を分析して自社の立ち位置を確立します。


ここでは、3C分析・SWOT分析・STP分析を紹介しましたが、「営業分析」もデータドリブンな営業戦略を立案・策定する一助となります。営業分析とは、営業活動に関する各種データを定量的に評価・分析する手法で、自社を取り巻くさまざまな要素を多角的に分析することで、営業戦略の立案・策定につなげる役割があります。営業分析については、以下のページで詳しく説明していますので、ご覧ください。

参考記事:営業分析とは?営業分析の手法とすぐに役立つフレームワーク5選

営業戦略を立てる際のポイント

次に、戦略立案を行う際に意識するべきポイントについて解説します。

市場調査を行い、現状を分析する

営業戦略を立てる際には、まず市場調査を行い、自社の現状を客観的に分析することが重要です。具体的には、市場の動向や競合他社の営業戦略等を調査するとともに、自社の売上やシェア、価格など営業活動に関する情報を数値化して可視化し、分析します。これにより、市場における自社の立ち位置を確認できるだけでなく、最適な営業戦略を立てやすくなります。

コアコンピタンスを把握する

自社のコアコンピタンスを把握し、それを活かした営業戦略を策定することが成功の鍵です。コアコンピタンスとは、企業が持つ競争上の優位性をもたらす中核的な能力や強みのことを指します。他社が容易に模倣できず、自社にしかない独自の技術やノウハウ、サービスなどがあります。コアコンピタンスを活かした営業戦略を立てることで、競合と差別化でき、成長が見込めます。

 営業課題を明確にする

市場調査と現状分析を基に、自社が抱える営業課題を具体的に洗い出しましょう。そして、自社の強みを生かしつつ、洗い出した営業課題を解決できる戦略を立てることが大切です。


以上のように、営業戦略を立てる際は、自社の現状やコアコンピタンス、営業課題を把握することがポイントです。営業支援システムなどITツールを活用すれば、手軽にさまざまなチャネルから収集したデータを分析して市場動向を把握したり、成功した手法や改善すべき点を明確にしたりすることができます。

参考記事:データドリブンセールスとは?メリットと実践方法を解説

ITツールの活用

営業戦略を立案・策定するにあたっては、ITツールを活用することをおすすめします。情報入力にかかる時間を削減したり、データを基に表やグラフを自動生成するなど、現状を把握・分析する際にかかる手間を省くことができます。

弊社SALESCORE株式会社が提供する「SALESCORE」は、データドリブンな営業組織作りをサポートするSaaSです。業界・規模問わず、幅広いお客様にご導入いただいています。

SALESCORE Visualizeは、営業支援システムと連携した予実管理ダッシュボードで、ダッシュボードから目標(予算)設定し、営業支援システムを始めとした複数のソースと連携することで、KPIを可視化するとともに、予実をリアルタイムで自動表示することができます。さらに、標準進捗率(営業日の進捗)に対して、目標の達成率が上回っているか下回っているかで赤/青の色分け表示する機能があるため、進捗を一目で確認できます。

KPIの数値をクリックすると、集計元となるレポートが表示されます。そのため、各案件の詳細について正確に把握できるとともに、それらの一次データを基に適切な改善策をその場ですぐに考えることができます。

グラフやピボットを用いた高度な分析も可能です。従来、営業のボトルネック特定のためにかかっていた時間を80%削減できます。

また、営業支援システムへの情報の入力をExcelライクに行えるSALESCORE Syncを活用することで、入力時間を60%削減することができます。

公式HP:SALESCORE

まとめ

営業戦略とは、経営戦略における利益目標や営業目標の実現に向けた中長期的な計画です。営業戦略を立案・策定する際は、「1.内部環境と外部環境の分析」「2.目標設定」「3.KPIの設計」「4.課題の特定」「5.顧客分析」「6.施策の進捗管理」という6つの工程を進めながら計画を組み立てます。データドリブンな営業戦略を確立するためにも、セールスイネーブルメントツール「SALESCORE」の導入をご検討ください。

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