営業目標を安定的に達成するには、現状を正確に把握し、今後の見通しを立てながら営業活動をマネジメントすることが欠かせません。そこで重要になるのが、業績目標と見込売上のギャップを分析・対策しながら営業活動を行う「フォーキャスト管理」です。
しかしながら、
・フォーキャスト管理はどのように行うのか
・そもそもフォーキャスト管理とはやるべきなのか
と初めてフォーキャスト管理に触れていく方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、フォーキャスト管理の目的や重要性をはじめ、その手順や成功のコツ、さらには役立つツールまでわかりやすく解説します。
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フォーキャスト管理とは
フォーキャスト管理とは、将来の売上や業績を予測し、その予測値に合わせて対応策を講じるマネジメント手法です。「業績目標管理」と呼ばれることもあります。元々フォーキャストとは、「予報」や「予想」などを意味する英語です。
フォーキャスト管理では、見込売上を予想(フォーキャスト)した上で、営業目標とその見込売上のギャップを認識し、営業目標を達成できるようにリソース配分などを調整します。
これにより、期末目前になって慌てたり、限られた時間の中で取りうる選択肢が少なくなってしまうことを未然に防ぐことができます。そのため、チームはより効率的に営業目標の達成を目指せます。
参考記事:適切な案件管理とは?効率的に売上を作り、業績目標を達成する方法を紹介
フォーキャスト管理の目的
フォーキャスト管理の目的には、「業績目標の達成」と「リスクマネジメント」という2つの側面があります。
経営者目線で言えば、早い段階で業績目標の着地予測ができれば、それに応じて予算や人員、生産活動、在庫管理などの最適化を迅速に行えます。例えば、利益の見込めない事業に対しては損害が大きくなる前に撤退し、利益が期待できる事業にリソースを多く投じることでリスクやコストを最小化しつつ、より効率的に業績目標を達成しやすくなります。
また、フォーキャスト管理は営業部門で使われることも多々あります。営業目標と見込売上にどれくらいギャップがあるかリアルタイムに把握することで、営業マネージャーはそのデータを進捗管理や目標管理、モチベーション管理などに役立て、精度の高い営業戦略を実施しやすくなります。こうして、営業部門全体のパフォーマンス向上を図ることが可能です。
フォーキャスト管理を行う4つの手順
フォーキャスト管理は、主に以下4つの手順を踏んで実施します。
1.過去データを収集し分析する
2.目標を設定する
3.目標値と着地のギャップを計測する
4.定期的な振り返りと改善を実施する
ここでは、特に営業部門でフォーキャスト管理を行うことを想定し、各ステップで行うべきことを解説します。
過去データを収集し分析する
フォーキャスト管理の第一歩は、過去の売上データや現在の商談の進捗状況などを詳細に収集し分析することです。最初に現時点での確定データと未確定データを分け、商談数、案件化数、受注率、受注数、単価などに細分化してその傾向を分析します。また、これは第三者によるデータでも構いませんが、市場予測データも考慮しましょう。このようなデータ分析は営業目標を立てるためにも、実際の着地見込みを立てるためにも必要です。
具体的な目標を設定する
過去の傾向や現状のデータと照らして、具体的な営業目標を設定することで、チーム全体の活動指針が決まります。営業目標は、会社全体の業績目標と整合性を取れるように計算することが大切です。前年度の実績や会社の成長率、あるいは競合他社の動きも含めた市場状況なども踏まえながら営業目標を決めましょう。営業目標は測定可能で具体的な内容であることが望まれます。
以下のページで適切な営業目標の立て方を紹介していますので、ご覧ください。
参考記事:適切な営業目標の立て方をご紹介!|納得感に違いが現れる営業目標とは
目標値と着地のギャップを計測する
目標が定まり実際の営業活動が始動したら、今度は目標の着地見込み(期待収益)を予測します。先述の過去データや現在の営業活動の進捗、季節性や市場のトレンド、競合状況などを多角的に考慮しながら予測値を立てましょう。
着地見込み(期待収益)は、「総額×期待値(計算は個社による)」で算出します。なお、どの数値を基に着地見込み(期待収益)を出すのかは、企業によって異なります。フェーズ確度や担当者確度を参考に計算する企業もあれば、案件金額の総額で算出する企業もあります。
計算式は、以下の通りです。
■フェーズ確度を参考に計算
3,000*40%+4,000*50%+5,000*20%=4,200
■担当者確度を参考に計算
3,000*80%+4,000*70%+5,000*50%=7,700
■案件金額の総額で算出
3,000+4,000+5,000=11,000
参考記事:適切な案件管理とは?効率的に売上を作り、業績目標を達成する方法を紹介
着地見込みが明らかになったら、その数字と営業目標のギャップは自ずと明らかになります。これによって、目標達成までにあとどれくらいの数字が必要なのかが明確になり、そこから逆算して対策を立てやすくなります。
定期的な振り返りと改善を実施する
フォーキャスト管理の精度を高めるには、定期的な振り返りと改善が不可欠です。対策の実施後、その結果を分析し、目標とのギャップがどれだけ埋められたかを評価します。
意図した結果が得られなかった場合、対策の内容や実行プロセスを見直し、さらに効果的なアプローチを模索します。このようにPDCAサイクルを回すことによって、営業活動を継続的に改善し続けることができるため、効率よく営業目標の達成を目指せます。
また、市場動向や競合の変化にも柔軟に対応できるよう、常に最新のデータを取り入れてフォーキャストを更新することも重要です。
PDCAサイクルとは
PDCAサイクルは、「Plan-Do-Check-Act」の頭文字を取ったものです。これら「計画→実行→評価→対策・改善」という4つのプロセスを繰り返すことで、業務の最適化、業務効率・生産性の向上などを図ります。詳しくは以下のページで説明していますので、ご覧ください。
参考記事:「PDCAサイクル」活用のポイント|営業マネージャー編
精度の高いフォーキャストを算出する3つのポイント
フォーキャストの精度を高めるには、データの質や鮮度が重要です。具体的に意識したいポイントは以下の通りです。
タイムリーに予測値を更新する
フォーキャストの精度を高めるためには、予測値を随時更新することが重要です。受注日や売上日の変更、受注確度の変動など、案件の進捗に影響を与える要素は多岐にわたります。これらの情報をタイムリーに反映して予測値を更新しなければ、予測が現実と乖離し、対策の有効性も下がってしまいます。
なるべく直近のデータを利用して算出する
フォーキャストの精度を高めるためには、最新のデータを活用することが不可欠です。
営業活動の進捗や市場状況、顧客のニーズなどは刻々と変化しており、古いデータに頼ると現実に即した予測が難しくなります。リアルタイムでデータを収集し分析することで、営業活動における「勝ちパターン」やボトルネックを明確になり、受注確度の精度が向上します。
各営業担当者には、日々の営業活動のデータをすぐに入力してもらうにしましょう。
リアルタイムでのデータ収集・分析には「営業の進捗管理」が重要
リアルタイムでデータを収集・分析するためには、日頃から営業の進捗管理を徹底して行う必要があります。営業の進捗管理とは、営業活動の各プロセスの進行状況を把握し、目標達成に向けてチーム全体が効率的に機能するように管理することです。
エクセルでも進捗管理を行うことは可能ですが、手間の多さやリアルタイムでの情報共有が難しいといった理由から、敬遠する企業が見られるようになりました。特にリモートワークを導入している企業や、複数の拠点をもつ企業は、専用のITツールを活用するといいでしょう。
参考記事:営業の進捗管理の方法とは?導入方法や管理を行う際の3つのポイント
実績に基づいた予測値を設定する
予測値は経験や勘、願望などに依るのではなく、実績という客観的なデータに基づいて設定することが重要です。前年同時期や前月のデータを比較分析し、具体的な数字を出すことで、実際の業績と予測値の乖離を最小限に抑えられます。
例えば、リード獲得率や受注確度を具体的に予測し、それを基に目標達成に必要な戦略を練ります。こうすることで、過去の実績を踏まえた確実性の高いフォーキャストが可能です。
データに基づいて意思決定や戦略策定を行う「データドリブン営業」
顧客情報や市場データなど、豊富なデータに基づいて営業活動における意思決定や戦略策定を行う手法は、「データドリブン営業」と呼ばれています。
データドリブン営業では、顧客の属性情報やこれまでの購買履歴、市場動向など、客観的なデータを収集・分析し、その分析結果に基づいて意思決定を行います。これにより、主観的な要因や不確かな根拠を排除し、より客観的かつ正確な判断や効果的な戦略を策定することができます。
参考記事:データドリブンセールスとは?メリットと実践方法を解説
フォーキャスト管理に役立つ2つのツール
フォーキャスト管理の精度や効率性を高めるためには、ITツールの活用が欠かせません。フォーキャスト管理に特に役立つツールとしては、営業支援システム・顧客管理システムとビジネスインテリジェンスツールが挙げられます。
営業支援システム・顧客管理システム
営業支援システムは、営業に関する情報をデータ化して蓄積し、分析することができるシステムです。営業支援システムを活用することによって、各営業の営業活動が可視化されるため、手軽に顧客への効果的なアプローチ方法を考えたり、自身の弱点を把握したり、ナレッジや情報を共有したりすることができるようになります。
一方、顧客管理システムは、顧客情報を中心に集約し、顧客と良好な関係を構築・維持するためのツールです。顧客管理システムに顧客情報を入力し、それをリアルタイムで分析することで、一人一人に最適なアプローチを行えるようになります。その結果、受注に繋がったり、顧客満足度を向上させることができます。両者は本来別個のツールですが、統合されて提供されていることもあります。
フォーキャストの精度を高めるには、データの量や質、鮮度が重要です。また、チーム全体でデータをシームレスに管理・共有できる体制も求められます。その点、営業支援システム・顧客管理システムを用いれば、日々の営業活動の進捗や顧客情報を効率的に入力・管理・分析・共有できます。
営業支援システム・顧客管理システムの一例としては、SalesforceやHubSpotなどが挙げられます。
以下のページで、他のおすすめツールや各ツールの導入事例等を紹介していますので、ご覧ください。
参考記事:営業案件管理ツール5選紹介!|営業向け案件管理ツールは必要?
BIツール
ビジネスインテリジェンスツールは、データの収集・分析・可視化を行うための強力なツールです。フォーキャストの精度を高めるためには、データだけでなく、データ分析作業そのものの精度や効率性も大事な要素です。その点、データ分析に特化したビジネスインテリジェンスツールを活用すれば、データの収集・分析に必要な時間や労力を軽減できます。
ビジネスインテリジェンスツールには、そのままでは読み取るのが複雑なデータをわかりやすいグラフやチャートなどに可視化する機能が付いているのも魅力です。
ビジネスインテリジェンスツールの具体例としては、TableauやPower BIなどが挙げられます。
以下のページで、BIツールの選び方や活用する際のポイントについて説明していますので、ご覧ください。
参考記事
まとめ
フォーキャスト管理は、将来の業績を予測し、目標達成に向けた対策を立案・実施する手法です。データの質や量、鮮度を高め、継続的に予測値を更新することで、チーム全体のパフォーマンスを最大化できます。
フォーキャスト管理の実施に当たっては、営業支援ツールの導入が役立ちます。例えば、SALESCOREはフォーキャスト管理を含め、データ活用を促進する数々の機能を備えたソリューションです。ぜひ導入をご検討ください。
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